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宮本武蔵



    宮本武蔵

    五輪書

    五輪書 地の巻

    五輪書 水の巻

    五輪書 火の巻

    五輪書 風の巻

    五輪書 空の巻

    独行道

    兵法三十五箇条

    兵道鏡

    兵法書付

    五方之太刀道

    十智の書





    《五輪書 水の巻》

    地水火風空



    ○水の巻

    二天一流について

    水を手本とし、心を水のようにするのである。
    水は四角な器でも丸い器でも、それにしたがって形を変え、一滴となり、大海となる、水には青緑の色がある。
    その清らかさを借りて、わが一流の兵法をこの巻に書きあらわすのである。



    水の巻の序文
    後の方に

    此の書付ばかりを見て、兵法の道には及ぶ事にあらず。
    此書にかき付けたるを、我身にとって書付くを、見るとおもはずならふとおもはず、にせものにせずして、則ち我心より見出したる利にして、常に其の身になって、能々工夫すべし。

    格闘技においても重要である。

    五輪書を読んでいるだけではなく、自分でも考え、自分が考え出した利であると思って、自分でも実戦で使っていき実感してさらに工夫していくのがいい。


    ○兵法心持の事
    気になった部分
    常の心に替わる事なかれ
    心をかたよらぬように、心をまんなかにおく。
    心の内にごらず、広くしてひろき所へ智恵をおくべき也
    智恵も心もひたとみがく事専也
    兵法三十五箇条にも書かれている。
    格闘技においても参考になる。
    やはり、リラックス
    体を柔らかく
    緊張の場合知らず知らず肩で息をしていたり、息が浅くなっている場合が多いので腹を意識し腹で深く呼吸
    中心力養成法
    立ったままでもいい
    平常心はかなり難しいが理想である。
    常の心


    ○兵法の身なりの事
    姿勢
    常の身を兵法の身とし、兵法の身を常の身とする事
    姿勢は格闘技においても重要である。
    やはり平常の姿勢。
    リラックス
    力を抜く
    丹田


    ○兵法目付という事
    戦いの時は大きく広く目をくばり
    観見二つの事。
    観の目強く、見の目よわく
    観の目
    相手を察する
    相手を読む


    ○太刀の持様の事
    いつくということをきらう
    格闘技においても重要である。


    ○足つかひの事
    常に歩むがごとし
    片足ばかり動かさぬこと
    格闘技においても重要である。
    常にゆったりとした歩むがごとく動いているのがいい。
    ゆったりとしたステップ
    スタミナを保てるステップ
    片足ばかり動かしては構えの足幅ではない。
    構えの足幅 構えにもどる


    ○五方の構の事
    いずれのかまへなりとも、かまゆるとおもはず、きる事なりとおもふべし。
    格闘技においても重要である。
    構えにも色々あるが、構えると思わず構えにしばられず攻撃の目的のためと思うべし


    ○太刀の道といふ事
    道すじよくしりては、自由にふるもの
    太刀をはやくふらんとするによって、太刀の道さかいてふりがたし。
    太刀はふりよき程に静かにふる心也。
    格闘技においても重要である。
    攻撃の軌道
    早くふろうとして力んではいけない。
    力を抜いて当たる瞬間に力を入れる、体重をのせる
    繰り返し道すじよく知り練習して、スムーズに威力あるように鍛練。


    ○五つの表の次第第一の事

    ○表第二の次第の事

    ○表第三の次第の事

    ○表第四の次第の事

    ○表第五の次第の事

    ○有構無構の教の事
    構えはありて構えはなきという利也
    いずれにしてなりとも、敵をきるといふ心也
    敵のきる太刀を受くる、はる、あたる、ねばる、さはるなどいふ事あれども、みな敵をきる縁なりと心得べし。
    格闘技においても重要である。
    構えあって構えなし
    格闘技の場合相手を倒す、目的のためであると心得る
    ディフェンス等も相手を倒すきっかけであると心得る。


    ○敵を打つに一拍子の打の事
    敵我あたるほどのくらいを得て、敵のわきまへぬうちを心に得て、我身もうごかさず、心も付けず、いかにもはやく、直に打つ拍子也
    間の拍子をはやく打つ事鍛練すべし
    格闘技においても重要である。
    自分の動きもさとられないように、相手が判断が定まらないうちに一気に攻撃する。


    ○二の越の拍子の事
    我打つと見せて、敵の張手たむる所を打ち、ひきてたむる所を打つ
    格闘技においても重要である。
    こちらは打つと見せて、敵が緊張したあとのわずかな気のゆるみが出たところをすかさず打つ。


    ○無念無想の打の事
    敵も打ださんとし、我も打ださんと思ふ時、身も打身になり、心もうつ心になって、手はいつとなく空より後ばやにつよく打事
    一大事の打ち也
    身を打様になして、心と太刀は残し、敵の気の間を、空よりつよくうつ
    格闘技においても重要である。
    力を抜いて加速度的に強く
    敵も自分と打ち出すタイミングで、敵の気の間を空より強く打つ
    力を抜いて身体が若干早くパンチにしても蹴りにしても後ばやに一気に強く 当たる瞬間に強く
    かなり大事
    カウンターでかつ力強い打ち方


    ○流水の打といふ事
    敵相になりてせりあふ時、敵はやく引かん、はやくはずさん、はやく太刀をはりのけんとする時、我身も心も大きになって、太刀を我身のあとよりいかほどもゆるゆると、よどみのあるように大きにつよく打つ事也
    ならひ得ては、たしかに打ちよきものなり
    敵のくらいを見わくる事肝要也
    格闘技においても重要である。
    身体を先に入れて力が入るようによどみのあるようにとあるので
    プッシング気味に打つ
    プッシング
    力強くゆっくりとプッシング時間
    長い方が距離取れる
    距離を取る時にも有効
    タイミングや早さをかえることにより効かすことも出来る。
    敵の位置力量を見わける事が大事
    敵との距離があり、相手がうまければカウンターを食らうので、相手のレベルと距離が大事
    習得すればかなり打ちよい


    ○縁のあたりといふ事
    太刀の道一つをもって、いずれなりとも打つ所、是縁の打也。
    格闘技においても重要である。
    相手がこちらの攻撃をブロックしたり受け流したりするのをかまわずおもいっきり打つ
    ブロックの上からもブロックを折るぐらいでどこでも強く打つ


    ○石火のあたりといふ事
    敵の太刀と我太刀と付合ふほどにて、我太刀少しもあげずして、いかにもつよく打也
    三所をもってはやく打つ
    足、身、手
    格闘技においても重要である。
    接近戦での体ごとのプッシング
    距離をとるにも、相手のバランスを崩すにも有効


    ○紅葉の打といふ事
    敵の太刀を強く打ち、そのままあとをねばる心にて、きっさきさがりに打てば、敵の太刀必ずおつるもの也
    格闘技においても重要である。
    相手の攻撃に対して強く受け流したりして軌道を変えさせバランスが崩れたりガードが下がった時に打つ。


    ○太刀にかはる身といふ事
    太刀にてうつ事はあれども、太刀をあとより打つもの也
    格闘技においても重要である。
    体重の乗った強い攻撃をするには、パンチにしても、蹴りにしても一瞬体を先に入れて打つ
    試合の中では、ジャブやフェイント、強弱をつけたり、誘いのための打ち等を使いわけする時もあるが、強く打つ時は体を先に入れて打つ。
    強く打つには、よくよく研究し修練する。


    ○打と当るといふ事
    打つといふ心は、いずれの打にても、思ひうけてたしかに打つ也。
    あたるはゆきあたるほどの心にて、
    打つといふは、心得て打つ所也。
    あたるは、さわるほどの心
    格闘技においても重要である。
    打つと言うのは、しっかりねらったところを、きっちりとしたフオームで打つ
    あたるは、当たったにすぎず


    ○しうこうの身といふ事
    敵へ入り身に少しも手を出す心なく、敵打つ前、身をはやく入るる心也
    格闘技においても重要である。
    相手を攻撃する距離に入る時、打とうという意識、気配を消してスッと中に入る。
    手を出さない意識
    かなりのコツだと思う。
    かなり難しいが大事である。


    ○しつかうの身といふ事
    入身に能く付きてはなれぬ心也
    格闘技においても重要である。
    自分の有利な距離に入ったらしっかりはなれぬこと
    しっかりからだごとはなれぬこと
    腰が引けたり頭だけつけていたら隙ができる


    ○たけくらべといふ事
    敵へ入込む時、我身のちぢまざるように
    格闘技においても重要である。
    相手に入り込む時は、どうしても萎縮しがちである。
    意識すればするほど萎縮するものである。
    相手より大きくみせるつもりでゆったりとして強く入る。


    ○ねばりをかくるといふ事


    ○身のあたりといふ事
    身にて敵にあたる心也
    我左の肩を出し、敵のむねにあたる也
    格闘技においても重要である。
    まさに体ごと当たることでルールによっては有効である。
    たとえば首相撲からの膝蹴りに蹴り足が上がった時に体ごと当たっていく


    ○三つの受けの事


    ○おもてをさすといふ事
    敵の顔つく心あれば、敵の顔身ものるもの也。
    敵をのらすようにしては、色々勝所の利あり
    格闘技においても重要である。
    敵の顔を攻撃やフェイント等すれば、敵は顔も身体もよけぞるようにすることもある。
    敵が顔や身体をよけぞるようにすれば、いろいろと勝利の手段もある。


    ○心をさすといふ事

    ○かつとつといふ事


    ○はり受といふ事
    敵の打つ太刀に応じて、打つ太刀をはりて、はるよりはやく敵を打つことなり。
    はるにて先をとり、打つにて先をとる所肝要也。
    格闘技においても重要である。
    相手の攻撃をはたいて攻撃する。
    はたきながら攻撃したり、はって先をとり、打つにて先をとる。


    ○多敵の位の事
    多敵の位といふは、一身にして大勢と戦ふ時の事也。
    敵は四方よりかかるとも、一方へおいまわす心也
    武道、護身術においても重要である。
    大勢と戦う時は、敵が四方からかかってきても、これを一方に追いまわすように戦うことである。


    ○打ちあひの利の事
    兵法、太刀にての勝利をわきまゆる所也
    格闘技においても重要である。
    勝ちをおさめる理を知ることである。


    ○一つの打といふ事
    此一つの打といふ心をもって、慥に勝利を得る事也
    格闘技においても重要である。
    一つの打ちという心によって勝利を得る。
    よく学ばなければ得がたし


    ○直通の位といふ事
    二刀一流の実の道をうけて、伝ゆる所也
    口伝
    格闘技においても重要である。
    直通の心真実の極意を受けて伝えるものである。
    口伝



    (参考文献)
    宮本武蔵 日本人の道(魚住孝至) ぺりかん社
    五輪書 宮本武蔵著 渡辺一郎校注 岩波文庫
    五輪書 宮本武蔵 神子侃訳 徳間文庫
    五輪書 鎌田茂雄 講談社学術文庫
    宮本武蔵五輪書 潮境 藍編著 ソルト出版
    五輪書 宮本武蔵原著 大河内昭爾訳 教育社
    宮本武蔵の生涯 森銑三 やまと文庫